過去10年間の東京都の新築マンションの価格・戸数・人口の推移を調査した結果

過去10年間の東京都の新築マンションの価格・戸数・人口の推移を調査した結果

東京都の新築マンションの価格高騰は、何によって引き起こされているのでしょうか?

ここ数年間、東京都の不動産価格高騰がニュースでもよく取り上げられるようになりました。

中でも2023年には、前年比で+39.43%という突出した上昇率を記録しました。東京都の新築マンションの平均価格が8,236万円から1億1,483万円と、一気に3,000万円以上も上昇したのです。

このような価格の上昇傾向を目の当たりにし、「この価格高騰の要因は何か?」と気になっているのではないでしょうか。

そこで今回は、これらの価格高騰の要因を調査してみました。
新築マンションの発売戸数と人口の推移に関連しているのではないか?という仮説のもと、不動産経済研究所などが公開しているデータに基づいて数字を突き合わせてみました。

結論から言えば、資材の高騰や規制、発売戸数の低下、人口の増加など、いくつかの要因が複合的に絡み合うことによって起きた事象といえます。

その詳細を順を追って解説します。

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過去10年間の東京23区の新築マンション平均価格の推移

年度 平均価格 変動率
2015年 6,732 万円 +12.31%
2016年 6,629 万円 -1.53%
2017年 7,089 万円 +6.94%
2018年 7,142 万円 +0.75%
2019年 7,286 万円 +2.02%
2020年 7,712 万円 +5.86%
2021年 8,293 万円 +7.53%
2022年 8,236 万円 -0.69%
2023年 11,483 万円 +39.43%
2024年 11,181 万円 -2.63%
2025年(上期) 13,064 万円 +16.83%
2025年(7月) 13,532 万円 +3.58%
2025年(8月) 13,810万円 +2.06%
2025年(9月) 13,764万円 -0.33%
2025年(10月) 15,313万円 +11.27%

※出典元:不動産経済研究所

2015年から2025年10月までの東京23区の新築マンション平均価格は、10年で約2.27倍に値上がりしています。
長期的には右肩上がりの傾向を示し特に2023年以降は歴史的な急騰局面に入ったことが確認できます。

これらの価格の動きを3つのフェーズに分けて解説していきます。

【第一フェーズ】2015年〜2019年:緩やかな上昇期(6,732万円 → 7,286万円)

2015年の平均価格6,732万円から2019年の7,286万円へと約8%の上昇が見られます。

この期間の特徴は次のとおりです。

  • 年間の変動率は +0.75%〜+6.94%程度と安定的
  • マンション価格は「緩やかなインフレ+建築費上昇」を反映する形で上昇
  • 外国人投資家需要の増加・都心回帰の強まりが価格上昇を後押し

急激ではないが、確実に価格水準が切り上がる局面でした。

【第二フェーズ】2020年〜2022年:高止まりと調整の時期(7,712万円 → 8,236万円)

2020年には7,712万円、2021年には8,293万円とコロナ禍にも関わらず価格は上昇しました。
理由としては、

  • 低金利政策の継続
  • 建築資材価格(鉄骨・木材)の高騰
  • コロナ禍での「在宅・都心需給の再構築」

など複合要因があります。

2022年にはわずかに −0.69% の調整が入りましたが、価格水準としては底堅く世間の期待とは逆に本格的な下落局面には入らなかった 点が特徴です。

【第三フェーズ】2023年~2025年:異常値とも言える「跳ね上がり」とインフレによる高値更新~

表の中で最も目を引くのは 2023年の+39.43%という突出した上昇率 でしょう。
ここで平均価格は一気に 8,236万円 → 1億1,483万円 と3,000万円以上上昇しました。

この価格の上昇の大きな理由としてはインフレによる建築原価の高騰があります。

2025年11月27日にされた日本建築業連合会の発表によると、2021年1月~2025年10月までの建築資材の価格は平均で37%の値上がりをしています。

マンションの建築計画開始から完成・販売開始までおよそ2年かかります。

その間、インフレの影響により値上がり続けている資材・人件費などのあらゆる要因による結果がこの『39.43%の値上がり』と言えます。

そして建築資材をはじめとした建築原価は2025年12月現在でも上がり続けています。

それにより2025年10月時点での東京23区の新築マンションの平均価格は1億5,313万円となっており高値更新を続ける結果となりました。

 

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過去10年間の東京都の新築マンション発売戸数の推移

年度 東京23区発売戸数 東京都下発売戸数 東京都全体 変動率(前年度比)
2015年 18,472戸 5,427戸 23,899戸 -5.16%
2016年 14,764 戸 4,069 戸 18,833戸 -21.20%
2017年 16,017 戸 4,016戸 20,033戸 +6.37%
2018年 15,957 戸 3,666戸 19,623戸 -2.05%
2019年 13,737戸 2,537戸 16,274戸 -17.07%
2020年 10,911 戸 3,242戸 14,153戸 -13.03%
2021年 13,290戸 2,921 戸 16,211戸 +14.54%
2022年 10,797 戸 2,360 戸 13,157戸 -18.84%
2023年 11,909 戸 2,226戸 14,135戸 +7.43%
2024年 8,275戸 2,041 戸 10,316戸 -27.42%
2025年(上期) 2,964戸 908戸 3,872戸 -9.87%
(前年同月比)
2025年(7月) 1,045戸 245戸 1,290戸 -13.77%
(前年同月比)
2025年(8月) 690戸 176戸 866戸 +109.6%
(前年同月比)
2025年(9月) 542戸 261戸 803戸 +2.82%
(前年同月比)
2025年(10月) 535戸 66戸 601戸 -23.05%
(前年同月比)

※出典元:不動産経済研究所

東京都の供給は 「10年で半分以下」 の減少

10年間の供給量を比較すると明らかです。
東京都の新築マンションの2015年の供給数は23,899戸だったのに対して、2024年は10,316戸と-56.8%の減少をしています。

東京23区の新築マンションの供給数を見ても10年で-55.2%の減少となっています。

この供給戸数の減少の要因は、用地不足・建築費高騰・規制強化 など複合要因による構造的な供給減であると言えます。

東京23区内は全域で単身者向けマンションの建築規制があります。

この規制により東京23区内で新築マンションを建てるためには一定以上の広さの土地が無いと作れなくなっています。
これにより東京23区のマンション用地不足に拍車をかけた状態となっています。

それに加えて、先の章でもご紹介した建築費の高騰も後押しをし、結果として半分以下の供給数までの減少になりました。

 

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過去10年間の東京都の人口の推移

年度 東京23区内人口 東京都総人口
2015年 9,272,740人 13,515,271人
2016年 9,388,201人 13,535,391人
2017年  9,493,492人 13,665,045人
2018年 9,590,972人 13,787,631人
2019年 9,696,700人 13,906,416人
2020年 9,733,276人 14,016,160人
2021年 9,702,947人 14,036,721人
2022年 9,720,389人 13,988,129人
2023年 9,783,988人 14,034,861人
2024年 9,873,999人 14,105,098人
2025年 9,947,644人 14,273,066人

出典元:東京都人口統計より

東京23区の人口は10年間で+674,904人(+7.2%)増加、東京都全体の人口は10年間で+757,795人(+5.6%)増加となっていて東京全体でも緩やかな増加が続いており、
少子化・地方人口減少の中で例外的な人口成長地域 となっています。

東京都は2025年も「過去最多人口」を更新している中で、人口が増えているのにマンション供給は半減という「需給の歪み」が発生しているという事が解ります。

  • 人口は10年で +7.2%増加
  • 供給(発売戸数)は10年で −55%減少

東京への人口集中は、コロナ禍でも崩れませんでした。
『2015〜2025年で23区は 約67万人増』これは政令市1つ分に相当する規模になります。

人口は増えているが、新規供給(発売戸数)は10年で半減。
つまり価格が上がるのは偶然ではなく、「需給を見れば上がらざるを得ない市場」 だったと言えるでしょう。

 

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過去10年間の東京都の新築マンションの価格・戸数・人口の推移のまとめ

東京都の過去10年の新築マンションの価格・販売戸数・人口の推移を調査した結果、
『新築マンションが一般消費者の住宅ではなく富裕層向け資産に変質した』という事が読み取れます。

東京都の新築マンションの資産価値はコロナでも崩れなかった元々の人口増加の需要と23区内全域の建築規制の2つに支えられており、2015年~2021年までの間でも緩やかに、しかし確実に上昇していました。

そこにインフレによる建築資材や人件費などの建築原価の高騰が重なり、爆発的な値上がりを起こしたという事がわかります。

既に23区内では新築マンションの平均価格は1億5,000万円を超えており、一般人には手が届きづらいという現実があります。

これだけの下支えのある安定資産を投資家たちが見逃すはずもなく、
東京都の新築マンションは一つのブランドとしての地位を確立したと言えるのではないでしょうか。

  • 東京都は日本で唯一人口が増え続けている
  • 供給が半分以下に減少し希少性が上昇
  • 国際都市化で実需・投資の購買層が強化
  • 再開発と高付加価値化が進む
  • 過去10年間で価格は2倍以上だが、それでも需要超過が続く
  • 供給枯渇により既存物件の価値が安定しやすい

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