「都心のマンションは、もう手が届く価格ではない」
「かといって、郊外で空室が続くのは避けたい」
不動産投資を考え始めた方から、最近こうしたご相談が増えています。そこで選択肢に挙がるのが、川崎市の再開発と、それに支えられた賃貸需要です。都心のすぐ隣にありながら、価格と賃料のバランスが取りやすいエリアだからです。
結論から申し上げると、川崎市は「都心の次に選ぶ現実的なエリア」です。いわば、セカンドベストと言えるでしょう。なぜならば、品川まで約9分という近さに加えて、市独自の再開発も進んでいるからです。さらに、価格に対する賃料の水準も、都心より有利な傾向があります。
この記事では、価格・人口・再開発・賃料の4つを一次データで確認します。そのうえで、川崎市が注目される3つの理由と、エリア選びの注意点まで解説します。ぜひ最後までご覧ください。
東京23区の新築マンションは平均1億3,613万円|「ベスト」は手が届きにくい価格に
東京23区は、新築マンションを「気軽に選べるエリア」ではなくなりました。2025年の平均価格は1億3,613万円です。しかも、前年から21.8%も上がっています。
エリア別に見た2025年の新築マンション価格
まずは、首都圏のエリア別の数字を並べてみましょう。
首都圏の新築分譲マンション平均価格(2025年)
| エリア | 平均価格 | 前年比 |
|---|---|---|
| 都心6区 | 1億9,503万円 | ― |
| 東京23区 | 1億3,613万円 | +21.8% |
| 首都圏全体 | 9,182万円 | +17.4% |
| 神奈川県 | 7,165万円 | +11.4% |
※都心6区は千代田・中央・港・新宿・文京・渋谷。都心6区の前年比は公表されていません
※出典元:不動産経済研究所「首都圏 新築分譲マンション市場動向 2025年のまとめ」

都心6区に至っては、1991年以来の高値です。つまり、「ベスト」とされる立地は、実需層の手を離れつつあるということです。
だからこそ「セカンドベスト」を探す人が増えている
一方で、神奈川県の平均は7,165万円にとどまります。23区との差は約6,448万円です。価格にすると、およそ1.9倍の開きがあります。
もちろん、安ければよいわけではありません。大切なのは、価格に見合う賃貸需要と資産性があるかです。その条件を満たす候補として、次に川崎市を見ていきます。
価格の高騰は「借りる人」も増やす
さらに、価格の高騰は投資家だけの問題ではありません。家を買う側にとっても、ハードルが上がっているからです。
そのため、購入できる収入がある人でも、高額なローンを避けて賃貸を選ぶケースが出てきます。とくに、通勤に便利な駅の近くでは、こうした層の住まい選びが賃料を支える一因になると考えられます。
ただし、その規模を示す川崎市単独の統計は限られています。ですから、あくまで傾向として捉えておくのがよいでしょう。なお、都内の価格推移は『なぜ都内の不動産が高騰しているのか?東京都23区における5年間の坪単価推移をまとめてみた』の記事でもご紹介していますので、こちらをご覧ください。
人は東京圏に集まり続けている|30年連続の転入超過と神奈川県の伸び
賃貸需要の土台である「人の流れ」は、いまも東京圏に向いています。2025年、東京圏の転入超過は日本人の移動で見て11万2,738人でした。
1996年以降、一度も途切れていない流れ
この転入超過は、1996年以降30年連続で続いています。つまり、景気に波があっても、東京圏に人が集まる構造は変わっていないと言えるでしょう。

※出典元:総務省統計局「住民基本台帳人口移動報告 2025年(令和7年)結果」
さらに注目したいのが、神奈川県の動きです。神奈川県の転入超過は2万8,052人でした。しかも、前年からの伸び幅は全国で最も大きくなっています。
川崎市の人口は、いまも増え続けている
では、川崎市はどうでしょうか。2026年9月1日現在の人口は156万7,532人です。1年前と比べて、9,121人増えました。
ただし、人口はいつまでも増えるわけではありません。川崎市の推計では、2035年頃に約159.3万人でピークを迎えます。この点は、後ほどエリア選びの注意点として詳しく取り上げます。
人口と家賃の関係は『東京23区の人口動態が示す「家賃が落ちない区」の条件とは?長期安定を狙うサラリーマンの不動産投資【2026年版】』の記事でもご紹介していますので、こちらをご覧ください。
理由①再開発は「面」で効く|品川の変化は川崎にも届く
まず押さえたいのは、川崎市が品川エリアの再開発の恩恵を受けやすい位置にあることです。なぜならば、再開発の効果は建物の中にとどまらないからです。通勤圏という「面」に広がるのです。
品川で進む2つの大きな変化
まず、品川・高輪エリアでは、TAKANAWA GATEWAY CITYがグランドオープンしました。2026年3月28日のことです。オフィスや商業施設が集まり、働く人が増えるエリアです。
次に、東京メトロ南北線の品川延伸があります。白金高輪駅から品川駅方面へ、約2.5km延ばす計画です。2030年代半ばの開業を目指しています。
なぜ川崎まで効果が届くのか
品川で働く人が増えれば、その人たちが住む場所も必要になります。しかし、品川周辺の住宅は価格も家賃も高い水準です。そこで、短時間で品川に通える隣接エリアに住まいの需要が広がります。
その点、JR川崎駅から品川駅までは約9分、東京駅までは約18分です。また、横浜駅にも約8分で出られます。つまり、川崎は東京と横浜の両方を通勤圏に持つ位置にあるということです。

※所要時間は川崎市公式サイトの記載によります。列車種別・時間帯により異なります
※出典元:JR東日本「Greater Shinagawa 広域品川圏の共創まちづくり」/東京メトロ「南北線(品川・白金高輪間)」/川崎市「川崎へのアクセス」
再開発が「点ではなく面で効く」仕組みは、『【2026〜2030年代】東京23区の再開発が資産を守る?インフレ・年金不安に効く「不動産保険運用®」とは』の記事でもご紹介していますので、こちらをご覧ください。
理由②川崎市が進める独自の再開発|3つの柱
川崎市は、東京の恩恵を待つだけの街ではありません。市内でも、駅前・臨海部・羽田側の3か所で大きな再開発が動いています。
川崎市の主な再開発プロジェクト
| エリア | 内容 | 時期 |
|---|---|---|
| 京急川崎駅西口 | 地上24階・高さ約119mの 業務・商業ビル |
2030年度 事業完了予定 |
| 扇島地区など (臨海部) |
約400haの土地利用転換 水素などの新拠点 |
2028年度から 一部利用開始 |
| 殿町 (羽田側) |
キングスカイフロント(約40ha) 多摩川スカイブリッジで羽田と直結 |
2022年3月 橋が開通 |
※出典元:川崎市「京急川崎駅西口地区」/川崎市「JFEスチール株式会社東日本製鉄所京浜地区の高炉等休止に伴う土地利用転換」/川崎市「羽田連絡道路」/UR都市機構「キングスカイフロント」

駅前:京急川崎駅西口の大型ビル
1つ目は、川崎駅周辺の再開発です。京急川崎駅西口では、大型の業務・商業ビルの計画が進んでいます。延床面積は約83,000㎡です。そのため、駅前に働く場所が増えれば、職場の近くに住みたい人の需要も生まれるでしょう。
臨海部:製鉄所跡地が新しい産業拠点に
2つ目は、臨海部の扇島地区などです。製鉄所の高炉休止に伴い、約400haの土地が新しい使い道へ転換されます。たとえば、水素を軸としたカーボンニュートラルの拠点や、港湾物流などが計画されています。
羽田側:研究開発拠点と空港への近さ
3つ目は、羽田空港の対岸にあたる殿町エリアです。ここには、ライフサイエンス分野の拠点が集まっています。さらに、多摩川スカイブリッジの開通で、羽田空港と道路で直結しました。
このように、川崎市には東京に依存しない「自前の雇用の核」が複数育ちつつあります。これは、賃貸需要を下支えする大切な要素だと言えるでしょう。
再開発は「完成までの時間」も見ておく
ただし、再開発は計画から完成まで長い時間がかかります。たとえば、京急川崎駅西口の事業完了は2030年度の予定です。また、扇島地区の土地利用も2028年度から段階的に始まります。
つまり、効果が本格的に表れるのは数年先だということです。ですから、再開発の完成を短期の値上がり材料と見るのではなく、長く保有する中での追い風と捉えるのが現実的です。
理由③【独自分析】価格と賃料のバランスで見る「セカンドベスト」
ここが、この記事でもっとも重要な部分です。ポイントは、価格の差ほどには、賃料の差が開いていないことです。そのため、価格に対して得られる家賃の割合は、神奈川県のほうが高くなる傾向があります。
㎡あたりで比べると見えてくること
まず、新築マンションの㎡単価を比べます。23区は210.9万円、神奈川県は108.2万円です。差は約1.95倍になります。
次に、分譲マンションの㎡あたり賃料(2025年平均)を比べます。23区は4,723円、神奈川県は2,712円です。こちらの差は、約1.74倍にとどまります。
価格と賃料のバランス(2025年・㎡あたり)
| 項目 | 東京23区 | 神奈川県 | 差 |
|---|---|---|---|
| 新築の㎡単価 | 210.9万円 | 108.2万円 | 約1.95倍 |
| ㎡あたり月額賃料 | 4,723円 | 2,712円 | 約1.74倍 |
| 参考表面利回り | 約2.7% | 約3.0% | ― |
※参考表面利回り=㎡あたり月額賃料×12か月÷新築の㎡単価で当社が機械的に算出。新築分譲の価格と、築年数を問わない分譲マンション全体の賃料という異なるデータを組み合わせた目安であり、個別物件の利回りを示すものではありません
※出典元:不動産経済研究所「首都圏 新築分譲マンション市場動向 2025年のまとめ」/東京カンテイ「分譲マンション賃料(年間版)」をもとに当社作成
つまり、同じ金額で得られる家賃の割合は、神奈川県のほうが有利になりやすいということです。これが「セカンドベスト」と呼べる根拠です。
賃料は10年でどう動いたか
では、賃料そのものは伸びているのでしょうか。2016年から2025年にかけて、23区の賃料は約42%上がりました。一方、神奈川県も約33%上がっています。

※出典元:東京カンテイ「分譲マンション賃料(年間版)」をもとに当社作成
ただし、神奈川県は2025年に前年比2.9%下がりました。その後、2026年8月には2,910円/㎡まで戻っています。これは、直近1年間の最高値です。
つまり、賃料は一本調子ではなく、波を描きながら上がってきたと見るのが正確です。ですから、短期の上下ではなく、長い目で需要の厚さを確かめることが大切だと言えるでしょう。
※出典元:東京カンテイ「三大都市圏・主要都市別/分譲マンション賃料月別推移」2026年8月
川崎市で物件を選ぶなら「区と駅」で差が出る|正直な注意点
ただし、「川崎市なら、どこでもよい」わけではありません。なぜならば、同じ市内でも、区によって人口の見通しが大きく違うからです。
区ごとに人口のピーク時期が違う
川崎市の推計では、区ごとに人口がピークを迎える時期が異なります。たとえば、麻生区はすでに2020年頃にピークを過ぎたとされています。
川崎市の区別・人口ピークの見通し
| ピークの時期 | 区 |
|---|---|
| 2020年頃 | 麻生区 |
| 2030年頃 | 川崎区 |
| 2035年頃 | 宮前区・多摩区 |
| 2040年頃 | 中原区・高津区 |
| 2050年頃 | 幸区 |
※出典元:川崎市「川崎市総合計画の改定に向けた将来人口推計」をもとに当社作成

もちろん、ピークを過ぎてもすぐに人がいなくなるわけではありません。しかし、長く保有する前提なら、人口の山が遅い区や、駅に近い物件を選ぶほうが安心でしょう。
供給が多いエリアは、競合も多い
もう一つの注意点は、投資用マンションの供給量です。2025年、川崎市では投資用マンションが944戸供給されました。首都圏全体の約23%にあたります。
さらに、川崎区だけで300戸と、地域別で5位の多さでした。これは、事業者が川崎に注目している証拠です。ただし、裏を返せば入居者を奪い合う競合物件も多いということです。
※出典元:不動産経済研究所「2026年上期及び2025年年間の首都圏投資用マンション市場動向」
物件ごとに確認したい4つのポイント
そこで、川崎市で物件を選ぶときは、次の点を確認しておきましょう。
- 最寄り駅からの距離(毎日の通勤で負担にならないか)
- 品川・東京・横浜方面への路線の使いやすさ
- スーパーや病院など、生活に必要な施設の近さ
- 建物の管理状態と、周辺の競合物件の数
売りたいときに誰が買ってくれるかという視点も欠かせません。詳しくは『年収1,000万円超が知るべき不動産投資の出口戦略3つ|売る・持ち続ける・遺す』の記事でもご紹介していますので、こちらをご覧ください。
川崎エリアの販売実績と「不動産保険運用®」
川崎エリアは、当社が実績を重ねてきたエリアの一つです。これまでに、次のような川崎市内の物件をご紹介してきました。
- エル・グランジュテ川崎
- クラリッサ新川崎
- クラリッサ川崎ルーナ
- パティーナ川崎南
※当社の販売実績より一部を掲載しています
家賃収入と保障を同時に持つという考え方
当社がご提案しているのが、不動産保険運用®です。ローンを組んで物件を持つと、多くの場合は団体信用生命保険に加入します。これは、ローン契約者に万一のことがあった場合に、残債が保険金で返済される保険です。
そのため、家賃収入という「私的年金」の役割に加えて、ご家族への「保障」の役割も持てるのです。ただし、保障の内容は金融機関や商品によって異なります。
本業の税金にも効くのが不動産の特徴
さらに、不動産所得が赤字になった年は、給与所得と相殺できる場合があります。この仕組みを損益通算(所得の赤字と黒字を差し引きすること)と呼びます。
損益通算の仕組みは『不動産の赤字を他の所得と相殺する損益通算とは?』の記事でもご紹介していますので、こちらをご覧ください。
よくあるご質問
Q1. 東京23区ではなく川崎市を選ぶと、資産価値で不利になりませんか?
たしかに、ここ数年の価格の上がり幅だけを見れば、23区のほうが大きい時期もあります。しかし、川崎市も資産価値の土台となる地価が上がっているエリアです。2026年の地価公示では、川崎市の住宅地は前年に続いて平均4.4%上昇しました(神奈川県の平均は3.4%)。また、価格が都心より抑えられている分、価格に対する賃料の割合は有利になりやすい傾向があります。運用中の家賃収入と、売却するときの資産価値。その両方を狙えるのが、川崎市の強みです。
※地価公示は毎年1月1日時点の価格です。将来の地価や売却価格を保証するものではありません
※出典元:神奈川県「令和8年地価公示の概要」
Q2. 再開発が終わったら、需要は落ちてしまいませんか?
再開発の効果は、完成した瞬間だけのものではありません。なぜならば、完成後に働く人や住む人が定着して、はじめて需要が根づくからです。ただし、計画の内容や時期は変わる可能性があります。最新の公表情報をご確認ください。
Q3. 川崎市の人口が減り始めたら、どうすればよいですか?
市全体のピークは2035年頃と推計されています。しかし、区や駅によって状況は異なります。ですから、購入の段階で人口の山が遅い区や、駅に近い物件を選ぶことが備えになります。
Q4. 会社員でも、川崎市の物件を購入できますか?
はい、検討いただけます。会社員としての安定した収入は、金融機関の融資審査で評価される要素の一つです。ただし、融資の条件は金融機関や個人の状況によって異なります。
なお、会社員の方が税金に関して抱きやすい疑問は『サラリーマンが節税に関してぶつかる13の疑問とその答え』の記事でもご紹介していますので、こちらをご覧ください。
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まとめ
最後に、この記事の要点を整理します。
- 2025年の東京23区の新築マンションは平均1億3,613万円に達しました
- 東京圏への人の流れは、日本人の移動で見て30年連続の転入超過です
- 理由①:品川まで約9分の川崎は、品川の再開発の恩恵を受けやすい位置にあります
- 理由②:駅前・臨海部・羽田側で、川崎市独自の再開発が進んでいます
- 理由③:㎡あたりで比べると、価格の差ほど賃料の差は開いていません
- ただし、区ごとの人口の見通しと、供給の多さには注意が必要です
川崎市の再開発は、東京一極集中の「次」を考えるうえで見逃せない動きです。そのうえで大切なのは、区と駅まで絞り込んで物件を選ぶことです。それが、セカンドベストを本当の正解に変える鍵なのです。



